Geometry!


ジオメトリーとアラインメント

ジオメトリー=geometryという言葉を聞いたことがあると思います。日本語に訳すと幾何、あるいは幾何学という意味です。またアラインメント=alinementという言葉も聞いたことがあると思います。こちらは日本語に訳すと整列という意味です。

これらの言葉には厳密な基準があるわけではないようです。そこで私は、設計時に決められる幾何的な数値、つまり基準ポイント同士の設計時点での位 置関係をジオメトリーと呼び、その基準ポイント同士が設計通りに、実際に組み上げられているかどうかをアラインメントと言っています。

つまり各基準ポイントが設計通りであればアラインメントが取れていて、設計通 りでなければ狂っているということになります。アラインメントは製造時に狂うこともあり、また部品組み付けの際に狂うこともあります。もし精度よく組み付けられていても、クラッシュすれば当然狂います。

ジオメトリーが狂うと表現することはなく、もしジオメトリーに問題があれば、それは設計が間違っていたことになります。


バイクのジオメトリー

バイクのジオメトリーで重要な部分はステアリングまわりです。特にキャスター角、つまりステアリングの回転軸と、地面 に対する垂直線がなす角と、トレール、つまりステアリングの回転軸の延長線が地面 とぶつかる点から、前輪の接地点までの距離が重要です。

非常に乱暴に言えばキャスター角とトレールがうまく設定できれば、その他の、重心の高さ、ホイールベース、重心の前後配置など、多少のことは気にしなくとも走ります。125ccクラスのバイクに2人で乗れば、重心位 置などがどれほどずれるか想像できると思います。にもかかわらず、意外とうまく走ることができます。

むしろ過度なチョッパーに改造されたアメリカンバイクがうまく操作できなくなるのは、キャスターとトレールが適正値を外れてしまうからです。

ちなみにキャスターは「投げ出す」という意味、トレールは「引きずる」という意味です。事務椅子の足をキャスターと言うのは少しおかしくて、あの形状と働きならばトレールと言う方がいいように思えます。


クルマは?

クルマにもキャスター角もあり、トレールもあります。ただしどちらもバイクほど大きな数値ではありません。もしバイクと同じくらいに設定すると、ハンドルに癖が出てしまいます。


適正値は?

では適正値はどのくらいなのでしょうか。幾何学の基礎はすでに研究されつくし、このような基礎的な問題に関して今の学者は誰も研究していません。しかし、未だにはっきりとした結論が出ていないようなのです。キャスター角やトレールをどうするとどうなるという傾向は分かります。しかし新しいバイクを設計する際に、どの程度の数値が最適なのかは未だよく分からないのです。

チームで走る自転車競技にはトレールが非常に大きな車両が使われます。前車との距離を詰めて空気抵抗を低減するためだそうです。空気抵抗の低減がハンドリングの癖よりも優先されたのです。逆に言えばトレールを大きくしても、たいした弊害がなかったのです。

クルマの中にはキャスター角が非常に小さいか、あるいはゼロの車両もあるそうです。それでも全く問題なく走っています。

しかし、これだけははっきり言えるようです。トレールがマイナス値となるもの、つまり前輪の接地点がステアリング軸延長より前に位 置するものは非常に危険です。フロントブレーキをかけたり、前輪に外力が加わったりした場合、ハンドルが勝手に切れ込み、恐らく人間の力ではそれを押さえることができません。外見だけで過度なチョッパーに改造したバイクには時として見られるジオメトリーです。これは「ジオメトリーが間違った設定になっている」状態です。


どうやって設計するか

実はキャスター角もトレールも、バイクが実際に走っているときにどのくらいの数値になっているのか、その測定が高精度にできなければ、本当の意味では設計はできません。バイクが走っているときにどのような状態になっているのか、走ることが目的で設計するわけですから、ジオメトリーの設定は走行時が前提なのです。実走行中のアラインメントと、静止時のアラインメントはかなりずれているはずですから。

結局フロントまわりの剛性までが影響するため、走ってみないと分からない部分が残るのです。もちろん大メーカーでは私のMacよりずっと高性能なコンピュータでシミュレートしていることでしょう。部品のたわみまでも正確にシミュレートできれば、走行時の実際のキャスター角とトレールを割り出して設計することができるかもしれません。

私の場合、結局カンと経験がモノを言う場面が出てくるのです。Macはただのアシスタントです。決して答えを出してくれません。


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