子猫物語
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 子猫の事を忘れたある日、ベランダに猫が頻繁に現れる事に気がつきました。焦茶色でトラジマの猫。結構美形の猫でした。私は何の気なしに餌を少しだけあげました。するとびっくりするほどガツガツばくばく。相当お腹が空いているようでした。

 ベランダ脇の窓辺に仕事用のMacがあるので、ふとベランダを見ると猫がいるという状況がしばしばありました。私は気が向いたときに、たまに餌をあげました。すると狂ったように食べます。はぐはぐ音を立てて食べます。私はこの猫に、はぐはぐという名前を付けました。

 はぐはぐは餌をもらえるかもしれないという期待で胸を膨らませて、じっと私を見ています。猫座りの姿勢が結構凛々しくて、美形も相まって、好感を持ちました。

 焼いた鮭の皮などをあげると、はぐはぐ食べました。猫缶を買ってきてあげたら、もう大変、のどにつかえるほど慌てて食べていました。

 何でこんなにお腹を空かせているんだろうと不思議に思いましたが、そこで子猫の事を思い出しました。もしかするとこの猫があのときの子猫の親かもしれない。そういえば体の模様がそっくりでした。

 そうなると成長まっただなかの子猫にお乳をあげているわけだから、お腹が空くのも当然ですね。なんだかこの猫を通 じて間接的に子猫を育てている気分になりました。

 そしてある日・・・、お皿の餌を食べに来たはぐはぐの後ろに、かわいい子猫がいたのです。




つづく・・・

子猫物語
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