「金田号は爆走シーンの夢を見るか」





◆ 第1章「問題点」

大きな問題点は下記の3項目に分類できる。

1:ステアリングシステム
2:駆動システム
3:最低地上高

もちろん上記以外にも検討を要する点は多い。フレーム構造、総重量、スタンド、燃料及びタンクの位置と容量、搭載コンピュータに関する仕様および機能、整備性などなど。

しかしこれらの点は多少の問題を残していても走行は可能である。逆に完全な回答の無い項目だと言うこともでき、100点満点のうち10点でも走る。そこそこの対応で構わないのである。だが先にあげた3つの大きな問題点。こちらは深刻だ。現時点では不可能、つまり0点なのである。


最低地上高の問題に関しては異論もあるだろう。直進なら走れると。しかし概略検討の結果、有効バンク角約9度、最大コーナリングGは0.16程度しか発生できない。コーナーでは子供の自転車にも抜かれてしまう。たとえ高速道路でも、ゆるいカーブの手前で速度を落とさなければ、アウト側に膨らんでしまう。それでも「走行可能」と表現できるだろうか。

普通の乗車姿勢ならライダーが上体をコーナーの内側に乗り出し、体重の移動でカバーすることもできないことではない。しかし金田号の場合はライダーは背もたれに体重をあずけているため体重移動でコントロールすることは困難あるいは不可能なのである。

もちろんレーサーのように1Gほども発生することなど考えてはいない。しかし少なくとも普通の乗用車と同程度に走れなければ、走行可能とは言えないと判断する。


ステアリングシステムに関しては誰が見ても大きな問題があると思うことだろう。もし金田号の輪郭のみを再現し、フロントウインドシールドの中にスクーターのステアリングシステムが透けて見えていても構わないのなら何とかなるかもしれない。しかしそれでは金田号とは言えないだろう。

少なくとも、フロントカウルを取り外したとき、大友氏の描いたシステムに(遠目になら)見えることが必要条件だと考える。


駆動システムは困難を極めるだろう。ガソリンエンジンを搭載していることは設定上間違いないであろうが、直接駆動にしろ間接駆動にしろ、いったいどこにどの程度の大きさのガソリンエンジンが搭載されているというのか、どう検討しても金田号にはそのスペースが不足している。

無理に詰め込んでも、単気筒400cc程度のエンジンを押し込むのが限界であり、それでは動力性能的にも音も振動も、全てにおいて金田号に相応しくない。

直接駆動の場合にはさらに困難かもしれない問題がある。駆動力の伝達である。通常のバイクであれば車体と後輪の間にはチェーンが張られている。エンジンによって生み出された駆動力はこのチェーンによって後輪に伝達される。しかし金田号にはチェーンが見当たらない。どうやって駆動力の伝達をするのか、これは案外難しい。


序章
第1章 「問題点」
第2章 「詳細検討」
  ・ステアリングシステム

  ・駆動システム

  ・最低地上高

つづく



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